2014年04月07日
敬愛なる本鱒
こんにちわ 九代目です。
今日は春に旬を迎える本鱒を紹介します。
本鱒は、3月から4月の終わり位まで丸々と太り、脂がのります。
それは、秋の産卵に向け、皆さんがご存知の筋子・イクラを大きくするために餌をいっぱい食べ始める時期だからです。
初夏になると、筋子に栄養がまわる為、5月位から身の脂が抜けてきます
秋は、イクラを楽しむ季節です。春は身に脂がのって美味しくいただけます
4月の今時期が身を最も美味しくいただける季節
おろした上身を見ると腹だけでなく背側の身にもたっぷり脂がのっている状態
本鱒は基本的に、三陸沖で定置網で捕れたものを信頼している塩釜仲卸の仲買の方に買い付けてもらっています。
注文する時、「その日の一番太っている本鱒で!」がいつもの合言葉。
私の情熱を分かってくれる、仲買の方々には、いつも感謝感謝です。
鱒にも本鱒や桜鱒などいろいろあります。
桜鱒は、河口に近い場所で捕れるので、若干のくせがあります。
対して本鱒は、沖合で捕れる銀系の鱒なので、一切くせがありません。
だからこそ、いろんな調理法に用いることが出来る、素晴らしい春の食材なのです。
宿では、脂がのり始める走りは、昆布〆や椀物で道明寺蒸しに。
脂がのった旬には、笹鮨や、焼き物の木の芽焼きなどで。
初夏の名残りには、自家製ポン酢をかけた竜田揚げなどで登場します
写真は、「本鱒道明寺蒸し 薄葛仕立て」です。
本鱒はひと塩して旨味を引き出し、蒸した道明寺を包みます。
蒸した時に出る魚の旨味を道明寺が吸い込んで、一層美味しくなる料理です。
天然の利尻昆布と血合い抜きの鰹節をたっぷりと使った、引き立ての一番出汁を御椀に張ります。
そして、昆布〆した菜の花を添え、少しの出汁で溶き辛味を優しくした溶き山葵を天にのせて出来上がりです。
本鱒は、私が最も敬愛する春の食材の一つです
ご家庭でも、春のこの時期、スーパーや魚屋さんで本鱒を見かけたら、是非手に取って下さい。
ちなみに私は塩釜仲卸しの坂本商店や活鮮佐藤商店で、とびきりの本鱒を仕入れます
春の本鱒を見つけたら、酒蒸ししてポン酢をかけたり、
塩焼きや唐揚げで召し上がってみてくださいね
きっと春の本鱒が、ご家庭の食卓を笑顔にしてくれますよ